熱容解積層式3DプリンターでPLAと並んでよく使われる
フィラメントにABSという材料があります。
ABSは価格も安く、多くの製品に使われる樹脂ですが、
ABSを3Dプリンターで印刷する際や、造形物の扱いに気を付けないと
PLAよりも不具合が起きやすい材料でもあります。
今回は3DプリンターでABS印刷する時や
印刷した後の造形物の扱い方の注意点について解説したいと思います。
ABSの特徴
ABSは最も印刷しやすいと言われるPLAと比べてどんな特性があるのか?
PLAと比べてABSが優れている点
①衝撃に強い
②表面処理がしやすい
PLAと比べて気を付けなければいけない点
①反りやすい
②塗装に工夫が必要。
今回はABSの気を付けなければいけない点を深堀していきます。
ABSの反りやすさで起こる印刷不良と対策
ABSはPLAよりも溶解温度が若干高めでかつ
冷えると縮んで反ってしまいます。
3DプリンターでABSを造形する時に起こる不具合は
ほとんどこの反りやすさが原因になってきます。
ABSが反ってしまうとどんなことが起こるのかというと、
造形物が乗るベッド(プラットフォーム)から造形途中で剥がれて
うまく形ができなかったり、
ベッドに定着できても高さがある造形物だと途中で反って割れてしまうことがあります。
↑柱状の造形物が途中で割れているのが見えるでしょうか?
周りに飛び散っているのは、
サポート材です。
土台となるラフトにサポート材のABS樹脂が定着せず、
サポート材になるはずのABS樹脂が飛び散っています。
高さのある造形物だとABSのサポート材はPLAの時よりも
少し太めに設定するのが良いです。
そうするとサポート材が丈夫になって途中で飛び散る確率は下がります。
その代わりサポート材が剝がれにくくなる可能性があるので、
サポート材を剥がす際は、造形物のボディごと剥がさないように注意してください。
また、層と層の定着がPLAよりも弱いので、
層と垂直に力が加わると剥がれてしまい易いという事もあります。
このように積層痕と垂直方向の力には弱く
平行方向の力には強いです。
これはどのフィラメントにも言えますが、
ABS樹脂は特に顕著です。
なので、僕のように3DプリンターでABSを使ってルアーを作る場合は
このように印刷することで強度にも安心感が出ます。
ルアーは基本的に縦方向に力が加わるため、
寝かせた状態で印刷します。
また、反り対策に有効な手法としては
造形物が乗るベッド(プラットフォーム)にスティックのりを塗り定着させるか、
ベッドが過熱可能な3Dプリンターであればベッドの温度を上げてください。
僕はベッドの温度は100℃でABSを印刷しています。
サポート材には土台となる「ラフト」を設定しておくと
更に反りにくくなります。
ABSの塗装で気を付けること
ABSには対応していない塗料も多数存在します。
対応していない塗料をABS に塗るとABS樹脂に塗料が染み込みABSが割れ易くなってしまうことがあります。
特に言われているのがラッカー系塗料でABSを塗装すると割れてしまうという事です。
特に部品同士を組み込む物である場合、
篏合部にラッカー系の塗料がしみこみ組付けた時に割れてしまいます。
ABS樹脂に塗装する際は、
塗料の製品説明などをよく読み、ABS樹脂に塗装しても
大丈夫なのかどうかを確認する必要があります。
また、ラッカー系塗料を塗る前に表面をパテや下地剤を振りかけておくのも効果的ですが、
極端に厚塗りをしなければ絶対割れるなんてこともないようです。
ABSフィラメントはどんな時に使う?
今回は、3DプリンターでABSフィラメントを使うときに注意すべき点を書きましたが、
じゃあABSフィラメントはどんな時に使うのがいいのか
僕的には、
あまり大きくなく、外観を重視する造形物を作るのに使うのが良いかと思います。
あと、衝撃がかかりやすいものにも良いですね!
僕のように3Dプリンターでルアーを作る場合は特に
PLAよりも衝撃に強く、ヤスリで削りやすいABSは今のところ
一番いいフィラメントだと思って使っています。
また、PLAよりも耐熱性が高く炎天下の車内の温度にも多少耐えられるのも強みです!
ルアーを作るには塗装もしたいので、
ABSを塗装するのは工夫が必要ですが、
できないこともないのでやっぱABSが優勝かな(笑)
安いのにかなりきれいに造形できるお勧めのABSフィラメント↓
造形物↓ラパラみたいなルアーが作りたかった(笑)
かなり奇麗に造形できたし、いい動きしてくれました!
以上ABSフィラメントを使用する際に注意すべき点でした!
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