3Dプリンター造形物の積層痕消しは、
3Dプリンタールアーやフィギュアなど、
見た目のきれいさにこだわりたい方の大きなテーマです。
これまでいろんな3Dプリンター造形物の積層痕消しに挑戦してきましたが
セルロースセメントを使って、ようやく手をかけず楽に積層痕を消す方法が見つかりましたので、
この記事にてご紹介します。
今回は、FDM式3Dプリンターの
一般的なフィラメントであるABSの
積層痕消しの方法になります。
結論から言いますと、
ABSフィラメントで作った造形物を、
セルロースセメントにどぶ付けして
硬化させるだけなのですが、
造形物によって
どぶ付けする回数の違いや、
注意点などもありますので、
是非最後まで読んでみてください!
また、この方法は造形物の積層痕を消すだけでなく、
造形物の強度を上げることもできおススメです。
ちなみに使用している3Dプリンターは
FlashForgeのAdventure3xです。
準備する物
ABSの造形物の積層痕をセルロースセメントで消すために
必要な道具は以下です。
①セルロースセメント
②セメントが硬化するまで造形物を安置できる物(簡単なものでOKです)
以上、必要なのはこれだけです!
ですが、造形物の形状によっては
多少ヤスリがけも必要になるかもしれませんので
念のため紙ヤスリも用意しておきましょう!
セルロースセメントでABS造形物の積層痕が消える理由
ではなぜ、今回紹介するセルロースセメントをコーティングすることで
ABS造形物の積層痕が消えるのかという事を説明します。
ABSは有機溶剤に溶けるという性質があります。
有機溶剤には沢山の種類がありますが
今回紹介するセルロースセメントの成分である
トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノールは
すべて有機溶剤であり、ABS樹脂を溶かす成分になっています。
このABSを溶かすセルロースセメントを、
ABS造形物にコーティングすることで、
造形物の表面を溶かしながら、
同時に小さな隙間をセルロースセメントが
埋めてくれるため、ABS造形物の積層痕埋めができるというわけです。
僕は魚釣りのルアーを3Dプリンターで作っているので、
ルアーの主なコーティング剤であるウレタンとセルロースを
コーティング剤に持っているのですが、
ウレタンはABSを溶かさないため、
セルロースセメントのように積層痕を
綺麗にできませんでした。
ABSの造形物の表面処理で、
ABS造形物の表面を溶かす方法は他にも
アセトンベーパーという方法があります。
セルロースセメントでABSの積層痕を消す手順
セルロースセメントでABSの積層痕を消す手順は簡単です。
造形物をセルロースセメントに直接入れるだけ!
セルロースセメントの缶の蓋をヘラなどで開け、
蓋を開けたら、造形物にフックなどを付け、
造形物全体がセルロースセメントに浸かるようにセルロースセメントに入れます。
セルロースセメントに付けた後、
余分なセメントが流れ落ちるのを少し待ってから
↓のようなものにかけ硬化を待つだけです。
小さな段ボール箱に百均の網を載せているだけという
簡単なものですが、十分使えます。
家の中で硬化を待つ場合は
段ボール箱の底にアルミホイルや
キッチンペーパーなどを敷いておくと
床にセメントが流れなくて済みますが、
セルロースコーティングをしたものは
結構な匂いがするので、
生活スペースに置くのはおススメしません。
硬化時間は今回使用したものだと釣りのルアー用で
8時間以上で、8回以上のディッピングでルアーの通常強度になりますが、
今回は積層痕を消すのが目的のため、
重ねてコーティングする場合は事前のヤスリがけなしで
シンプルな形状のものだと2回のコーティングで十分です。
セルロースセメントコーティング無↑
セルロースセメントコーティング2回↓
ちょっと透明材料だと分かりづらいですね、
白色材料だとよくわかります。↓
セルロースセメントの効果は一目瞭然ですね。
このようなシンプルな形状だと全くヤスリがけなしで
2回のセルロースセメントコーティングでここまで出来ます。
セルロースセメントでABSの積層痕を消す際の注意点
セルロースセメントでABSの積層痕を消す際の
注意点についてお話します。
注意点は簡単にまとめると以下の通りです。
①セルロースセメントは体に触れたり、吸ったりしないように気を付ける。
②部品同士の隙間はパテやUVレジンなどでしっかり埋めておく。
③複雑な形状の造形物は2度付けしないようにする。
④セルロースセメントが入って欲しくない穴などの場所には栓をしておく。
こんな感じです。
それぞれ詳しく説明します。
①セルロースセメントは体に触れたり、吸ったりしないように気を付ける。
セルロースセメントは人体に有害です。
皮膚に触れたり、目に入ったり、セルロースセメントの近くで
マスク無で呼吸することは避けましょう。
またセルロースセメントは引火性がありますので、
火気の近くで取り扱ったり、高温の場所に保存しないよう気を付けましょう。
②部品同士の隙間はパテやUVレジンなどでしっかり埋めておく。
セルロースセメントにどぶ付けする際に
造形物がいくつかのパーツを組んで作られているのであれば、
パーツ同士の隙間は予めパテやUVレジンで埋めておきましょう。
もし、パーツ同士の隙間がある状態で
セルロースセメントにどぶ付けすると、
セルロースセメントでABSが溶け、穴が広がってしまいます。
↑セルロースセメントで広がった穴を
UVレジンで埋めました、、、、。
なので造形物に隙間があれば、事前にパテやUVレジンで
埋めておくことをおススメします。
Mr.ホワイトパテを使って隙間を埋めたり表面処理をしてみた。
③複雑な形状の造形物は2度付けしないようにする。
前述した通り、セルロースセメントはABSを溶かします。
そのため、造形物に複雑な形状がある場合は、
その形状を潰してしまうことがあります。
上:アセトンベーパーでの表面処理品
中:セルロースセメント1回コーティング
下:セルロースセメント2回コーティング
↑画像のようにセルロースセメントを2回コーティングしたものは、
魚の顔の形状が潰れてぼやけています。
対して、セルロースセメント1回コーティングの物は
積層痕もある程度消え、さらに顔の形もはっきりと残っています。
④セルロースセメントが入って欲しくない穴などの場所には栓をしておく。
セルロースセメントが入って欲しくない穴などは、
マスキングしておくか、
針金などで栓をしてセルロースセメントが
入らないようにしておきます。
例えば僕が作成した
ジョイントルアーの結合部のピンを入れる穴は
セルロースセメントが入って固まると
ルアー前部と後部を組み立てることが出来なくなります。
そこでセルロースセメントにどぶ付けする際は、
その穴にあらかじめ針金を入れてどぶ付けします。
そうすることで、セルロースセメントでの
表面処理後にスムーズに部員同士を組付けることができます。
ご自分の造形物に塞いでほしくない箇所がある場合は、
予め塞いでおきましょう!
最後に
以上!今回は3DプリンターABS造形物の積層痕消しは
セルロースセメントでもできるよ!
というお話でした!
そのほかの積層痕を消す方法も記事にして、
↓記事でリンクをまとめています。
他にも、3DCADでのモデリング方法などの記事もまとめてあるので良かったらどうぞ!
読んで頂きありがとうございました!
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